日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)
日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)の口コミ情報
おすすめ度:
研究者のあるべき姿をみた, 2008/12/23
1962年生まれ京大農学部卒 明治学院大経済学部教授
養老先生の本に紹介されていて、鼎談も掲載されていたので読んでみた。
出だしの方の、食と農に関係しない部分は若干思い込みもあるように思うのだが、本書の核心部分は実に説得力があると思う。ご自身が書かれているように、筆者は近年の食と農をめぐる議論に重大な懐疑を抱いていて「食と農の問題の本質は市民(農民および消費者)の怠慢と無責任である」と指摘し。今日の日本の社会はこの耳に痛い事実に向き合わず、議論をすり替えているのではないかと危惧している。そして同時の行政への強い非難も同時に行っている。
農地転用の政治的利用規則の恣意的操作(このために農民は農業より土地売買等で大きな利益を得る)、都市農村間の所得再配分システムは先進国ー途上国間でも行われるべきだと、グローバルでの食と農問題を指摘する。
大規模農家の育成、食料自給率の向上を農水省は政策目標に掲げながら、農地転用に関してはなんらメスを入れなかった。その結果、一部では農地改良―交通アクセス向上―ショッピングセンター誘致などが行われた。これらの事から日本農業の最大の生産物は農地であると筆者は授業で教えると書く。また転用以外での農地売却を農地への愛着(先祖代々の財産として)とする農民のエゴも指摘する。
分散錯圃(農地が数ケ所に分散し、 しかもそれが他の者の農地と混在していると言う日本特有の土地条件形態)も歴史的遺産にしてしまう誤謬も指摘する。だから農民はあえて貸したりする面倒を避け、転用でない農地売却を行わない。これをエゴであり甘えだと指摘する。またそこに農水省(国)の農地保有自由化に反対しつつ転用規則を骨抜きにし、実は外部の圧力に屈したふりをして農地保有を自由化し農地を買い漁らせるという悪魔のシナリオがあると。
農地利用の規則運用の公正正大に行い、個々の地権者のエゴをどのように抑えるか、また市民が行政まかせでない食の安全に関与することが重要だと指摘する。
これ以外にも農協の問題(金融部門等の)にもデータを沢山つかって切り込んでいる。
貧しい農家出身だと吐露する神門さんの日本の農業、いや世界の農業への熱い思い入れが感じられる。そしておそらく身の危険も感じて本書を敢えて書かれた事は想像に難しくない。
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Socialtunes - 日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)
日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉) 著者: 神門 善久. レーベル: NTT出版. スタジオ: NTT出版 ... 終章で著者は、「本書は、食と農の枠組みを通じて、市民エゴという日本社会の病理をみてきた。 」と記している。 ...
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